ストレスが溜まって、お腹が痛くなったり、便秘や下痢になった経験はありませんか?
ストレスを感じると「腹が立つ」という言葉があるように、腸は精神的なダメージをとても受けやすい器官です。
腸とストレスは密接な関係があるため、精神的なストレスがあると腸内環境が悪くなり、下痢や便秘、過敏性腸症候群などを引き起こしやすくなります。
また腸内環境が悪くなると自律神経のバランスを崩し、イライラやうつ症状、不眠などにもつながります。
ストレスから発生する腸内環境の悪化を、手軽に改善できる食生活の方法をご紹介します。
目次
腸内環境に負担をかける生活習慣
- ストレスをいつも感じる
- 睡眠不足
- 食事の時間が不規則、寝る前に食事を摂る
- 偏食で野菜嫌い
- 朝食は摂らない
- 運動習慣はない
- 過度のアルコール摂取
- 発酵食品はあまり摂らない
- タバコをよく吸う
腸内環境が悪くなるデメリット
免疫力が低下する
腸に免疫力の70%が存在します。腸内環境が悪化すると腸管の免疫の働きが低下するので、風邪を引きやすい、疲れやすい、大腸がんなどを発症しやすくなります。
太りやすくなる
腸内環境が悪くなると代謝が低下します。代謝が低下するので体が燃えにくくなり太りやすくなったり、生活習慣病を招く原因にもなります。
慢性便秘になる
腸内環境の悪化は便秘を治りにくくし、それによりまた便秘が悪化するという負のスパイラルになってしまいます。
ウツになる
腸内環境にある腸内細菌はセロトニンやドーパミンという幸せ感やポジティブな思考の合成にもかかわっています。
腸内環境が悪くなると、セロトニンやドーパミンを合成できなくなるのでウツの気分になりやすくなります。
腸内環境とストレスの関係
嫌なことがあった、なんだかむかつくなどストレスが溜まると脳がストレスを感じますね。
すると自律神経の活動神経神経の「交感神経」とリラックス神経の「副交感神経」のバランスが崩れてしまいます。
ストレスを受け自律神経のバランスが崩れると、感情を支配する大脳辺縁系が興奮して、不安や、怒り、悲しみなどを感じやすくなります。
また、脳の視床下部から抑うつや不安に関係ある副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)が多量に放出されて、不安やうつ症状を引き起こします。
ストレスを感じると腸内環境が悪化しやすくなる
自律神経には活動神経の「交感神経」とリラックス神経の「副交感神経」に2種類があります。
ストレスを感じると交感神経が活発になり、副交感神経の働きは鈍ります。すると腸内環境は悪化して腸の不調を引き起こして便秘や下痢を引き起こす原因になります。
腸内環境のバランスを崩す食生活の変化
戦前の日本食中心の食生活では食物繊維が多く、腸内環境をアップするための善玉菌が増える環境にありました。
しかし戦後から、欧米化の食生活に変化してパン食が多くなり脂質の摂りすぎとなり、反対に食物繊維の摂取量は減り、腸内環境が悪くなる環境へと変化しました。
お米からのカロリー摂取の比率は減り、肉や加工食品、乳製品などが多くなり高脂肪や高カロリーなどの傾向になっています。
その結果、この20年で大腸がんが男女ともに増える傾向にあり腸内環境も悪くなっています。
腸内環境を改善する方法
腸内細菌のバランスを整える善玉菌
腸内には大きく分類して3種の菌が活動しています。
腸内細菌は大きく分けて3つ
- 善玉菌 体を酸性に保って有害な菌を増えるのを抑えてくれたり、免疫機能を高めたりする
- 悪玉菌 増えすぎるとガスや毒素を発生させて免疫力を低下させる
- 日和見菌 腸内細菌の多いほうに加勢する
日和見菌は勢力の強い菌のほうにつくので、悪玉菌が多いと腸内環境は悪化します。
腸内環境を善玉菌を優位にして日和見菌を善玉菌を多くするように加勢させましょう。
理想の腸内細菌のバランス
腸内細菌のバランスの良い状態は、善玉菌20%:悪玉菌10%:日和見菌70%と言われます。
食生活の欧米化で腸内細菌のバランスが崩れやすくなっています。腸内環境を整えるためには腸内の細菌の善玉菌を増やしましょう。
腸内環境の善玉菌を増やすもの
善玉菌を増やす | 悪玉菌を増やす |
食物繊維 | ストレス |
乳酸菌 | 高脂肪食品 |
ポリフェノール | 化学物質 |
発酵食品 | 環境因子 |
運動 | 運動不足 |
食物繊維の働き
水溶性食物繊維(水に溶ける)
善玉菌を増やすには特に水溶性の食物繊維を意識して摂りましょう。
小腸で栄養素の吸収を抑えて遅らせ、有害物質を吸着して体の外へ排出します。
お腹の中でゆっくりと移動するので食べ過ぎを防ぎ、ブドウ糖の吸収を緩やかにするので食後の血糖値の急上昇を防ぎます。
腸内細菌の善玉菌のエサになります。コレステロールを吸着して体外に排泄します。
不溶性食物繊維(水に溶けにくい)
胃や腸で水分を吸収して大きく膨らみ、腸の蠕動運動を盛んにして便秘を改善します。
水溶性食物繊維 | わかめ、ひじき、こんぶ、大麦、こんにゃく、熟した果物、オーツ、ライ麦、大豆、きのこ |
不溶性食物繊維 | 穀類、豆類、ごぼう、小麦ふすま、大麦、ココア、キノコ、完熟野菜類 |
腸内環境を改善する食事3つのポイント
1. 食物繊維の多いものを摂る
腸内細菌の善玉菌が心地よく棲める環境を整えます。
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を2対1の割合で摂ると便秘解消に効果的といわれます。
主食のご飯に大麦を混ぜる(2~3割)と食物繊維の摂取量の改善になります。
おすすめ 大麦のβーグルカン効果
大麦は「βーグルカン」という水溶性の食物繊維が多く含まれます。
βーグルカンには腸内環境を改善し、コレステロールを下げる効果があると報告されています。
大麦のβーグルカンが腸内細菌のえさとなって悪玉菌の増殖を抑えて、善玉菌を増やし腸内環境を改善します。
また、朝食に大麦ご飯を食べると、昼食の糖質の吸収も抑えて血糖値の急上昇を防げます。
食物繊維を摂る目安
大麦の可食部100g当たりの食物繊維量
大麦: 100g中9.6g
野菜の中の食物繊維量は一番多い食物です。
2位はゴボウで100g中5.7g
3位は玄米で100g中3.0g
食物繊維も20g摂取を目安にしましょう。
また腸を守る抗酸化成分が多く含まれる、緑黄色野菜や色の濃い野菜を摂るのも効果的です。
2. 発酵食品を摂る
発酵食品は腸内細菌の善玉菌や日和見菌のえさになります。
発酵食品:ヨーグルトやキムチ、ぬか漬け、甘酒、、酒粕、納豆、チーズなど
乳酸菌が腸内環境の善玉菌の働きを助けて腸内環境を改善します。
腸内環境を整えると便秘予防や免疫力アップ、抗アレルギーにもつながります。
毎日、複数の発酵食品を組み合わせて摂るとより効果的です。
3. 低脂肪のものを選ぶ
アメリカの国立がん研究所が発表した「デザイナーズフーズ・ピラミッド」によると、大豆はがん予防効果の高い食品の上位に入ります。
大豆製品は高たんぱく、低脂肪
肉類の摂りすぎは大腸がんのリスク高め、高脂肪食を摂り続けると腸内環境に悪影響がでるといわれています。
腸内環境を健康な状態に保つために、肉食に偏らず、加工肉を取りすぎないように気を付け大豆製品など積極的に摂るようにしましょう。
戦後は食生活が日本食から欧米食に変わり、肉類の摂取量は増えており大腸がんや大腸ポリープなど男女ともに増える傾向にあります。
魚の油や良質な脂肪は健康に良い働きがありますので、適量摂ることを心がけましょう。
まとめ
ストレスがたまってお通じが悪くなると、なかなか改善しないでつい薬に頼りがちになりますが、便秘薬にはリスクもあります。
できるだけ毎日の食生活で腸内環境を整える事により、ストレス社会に過ごしている私達の自律神経を守りましょう。
自律神経が崩れると、交感神経と副交感神経のバランスが乱れて不眠症や便秘となり腸内環境はますます悪化します。
すると腸内環境の悪化により、自律神経のバランスが一層崩れるという負のスパイラルに陥り症状が重くなってしまうこともあります。
食生活のなかで、まず食物繊維を今よりも増やして摂ることから始めると、腸内環境を改善するための習慣にしやすくなります。
まずは主食に精白米だけではなく、大麦をプラスするところから始めると食物繊維の量を増やして腸内環境を改善することができます。
できるところから改善して、腸内環境をいつも整えて免疫力を上げて健康に過ごしたいですね。